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法伝寺ブログ

法然上人と熊谷直実

浄土宗の開祖、法然上人(ほうねんしょうにん)は浄土の教えを説かれました。
法然上人が生きていたのは、今ちょうど放送されている大河ドラマと同じ頃、
平安末期から鎌倉時代初期です。

法然上人の一生やその後について描かれた四十八巻伝(しじゅうはちかんでん)という絵巻物があります。
そこには源頼朝に従う御家人(ごけにん)の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)や、
津戸三郎為守(つのとさぶろうためもり)が登場します。

熊谷直実は石橋山の戦いでは平家側でしたが、その後、源氏側となり活躍しました。
平家物語の有名な場面、平敦盛(たいらのあつもり)と一騎打ちをした武士です。
自分の罪深さに悩んでいた熊谷直実は法然上人に出会い、
その教えを聴いて涙を流して喜びました。
そして、その後は浄土の教えに帰依し信仰心の篤い生活を送るようになります。

この時代は戦が多く敵や味方に別れるような混乱の時代でした。
人々の生活は不安定で死が身近なものでした。
戦に出る武士も、翻弄される庶民も、貴族も儚さや苦悩を抱えていたことでしょう。
そのような時だからこそ、
生まれや身分の差、性別、学識、財力に関係なく往生できるという
法然上人の教えはたくさん人々の救いとなったことでしょう。

いつの時代も、誰にでも不安や悩みは尽きないものです。
私たち自身にも、その周りににも、世界にも、
いつ何が起こるかはわかりません。
そのような出来事が起きた時に、
支えてくれる人、安心できる言葉、信頼できるもの…、
救いや助けとなるものはとても大切です。

熊谷直実のように喜びとなるような出会いが増えていけば、
この世にはもっと幸せになっていくのではないでしょうか。

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